ニュースや新聞記事などでよく耳にする言葉に辞任と辞職があります。
どちらも「自ら辞める」という意味を含んでいますが、実は対象となるものが異なります。
辞任は任務を辞めることを指し、辞職は職を辞めることを意味します。
つまり、一見似ているようでありながら、それぞれの範囲や使われ方には明確な違いがあるのです。
この記事では、辞任と辞職の違いを分かりやすく解説し、意味や使い方、例文まで紹介します。
混同しやすい言葉だからこそ、この機会に正しく理解しておきましょう。
辞任とは
辞任とは、自分の意思で「任務」を辞めることを意味します。
任務には「責任を持って果たすべき務め」という意味が含まれています。
たとえば、議長や大臣、委員長といった役職に就いている場合、その職務は責任を伴う任務です。
それを自ら辞めることを辞任と呼びます。
重要なのは、辞任は「職場を去ること」と必ずしも同義ではないという点です。
任務を辞めても、そのまま同じ職場で別の任務に就く場合もあります。
例えば、ある教授が学部長という任務を辞任しても、大学教授としての職は継続するケースがあります。
つまり、辞任とは「責任を伴う役目を辞めること」であり、その結果として職場を去る場合もあれば、残る場合もあるのです。
また、辞任はリストラや定年退職のように外部から強制されるものではありません。
自らの意思で任務を辞めるときに使う言葉です。
よって、「辞任します」と発表する場合、その背景には本人の判断があると理解できます。
辞任という言葉の使い方
辞任は、自分から任務を辞める場面で使われます。
特に政治や組織における責任ある役職に対して使われることが多いです。
逆に、学校を辞める、食事をやめるといった日常的な動作には使いません。
辞任の使い方の例
-
辞任を申し出たが引き止められた。
-
就任直後に不祥事で辞任することになった。
-
委員長が辞任したため、後任を探している。
辞職とは
辞職とは、自分の意思で「職」を辞めることを意味します。
ここでいう職は、担当している務めや生活の基盤となる仕事そのものを指します。
教師、会社員、公務員など、日々の生活と直結する仕事を辞めるときに使うのが辞職です。
辞職は任務を辞める辞任とは違い、多くの場合、その職場から完全に退くことを意味します。
例えば、大学教授が「辞職する」といえば、教授という職自体を辞めることを指します。
そのため、辞職は生活に大きな影響を与える決断となります。
また、辞職も辞任と同様に、強制的な解雇や定年退職には使いません。
本人が自ら辞める意思を示し、それが認められることで初めて「辞職」と表現できます。
ニュースなどで「辞職願を提出した」と表現されるのはその典型例です。
辞職という言葉の使い方
辞職は、自分から担当している職を辞める場合に使われます。
政治家や公務員だけでなく、一般の会社員にも使える表現で、辞表や辞職願という形で文書に残すこともあります。
辞職の使い方の例
-
大学教授を辞職することを発表した。
-
辞職願を提出し、正式に受理された。
-
思いもよらぬ理由で辞職することになった。
辞任と辞職の違いとは
辞任と辞職の違いは、辞める対象が「任務」か「職」かという点にあります。
まず、辞任は「責任を伴う任務」を辞めることを意味します。
議長、大臣、委員長など特定の役割を辞める場合に使われます。
辞任したとしても、その組織に残り、別の役職に就く可能性もあります。
つまり、辞任は役割や立場の変更を指し、必ずしも職場から離れることを意味しません。
一方、辞職は「職そのもの」を辞めることを意味します。
職とは生活の基盤となる仕事全体を指すため、辞職は基本的に職場を去ることを伴います。
たとえば「教師を辞職する」と言えば、その人は教育の職自体を辞め、学校からも去ることを意味します。
また、表現の仕方にも違いがあります。
辞任は「議長を辞任する」「役職を辞任する」といった形で任務と結びつきやすく、辞職は「会社を辞職する」「大学教授を辞職する」といった形で職業や肩書きと結びつきます。
まとめると、辞任は「任務を辞めること」、辞職は「職を辞めること」であり、どちらも自らの意思による辞退を意味しますが、対象とする範囲に明確な違いがあるのです。
まとめ
辞任は「責任を持つ任務を自ら辞めること」、辞職は「職を自ら辞めること」を意味します。
どちらも自主的な行為ですが、辞任は役割の放棄であり、辞職は職業からの離脱という違いがあります。ニュースなどで頻繁に使われる言葉ですが、この違いを理解することで、より正確に状況を把握できるようになります。
さらに参考してください: