英語には「捨てる」や「見捨てる」といった意味を持つ単語が複数存在しますが、そのニュアンスには微妙な違いがあります。
中でもdesertとabandonは意味がよく似ているため、混同しやすい単語です。
しかし、これらの言葉は使われる状況や含まれる感情が異なります。
本記事では、desertとabandonの違いを明確に解説し、それぞれの意味や使い方、実際の使用例を通して理解を深めていきます。
英語学習に役立つ内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
desertとは
desertには、発音によって異なる2つの意味があります。第一の意味は名詞として使われる「砂漠」です。
この場合、発音は「デザート(dɛzərt)」となり、植物がほとんど育たず、乾燥した岩や砂だけの土地を指します。たとえば「Sahara Desert(サハラ砂漠)」のように、特定の砂漠の名前では最初の文字が大文字になります。
もう一つの意味は動詞として使われる「見捨てる」「置き去りにする」「放棄する」です。
このときの発音は「ディザート(dɪzɜːrt)」になります。
ここでは、desertは「意図的に関係を断つ」「保護をやめる」といった意味で使われ、人や場所、責任などから自発的に離れるニュアンスがあります。
特に軍隊などの場面では、「脱走する」という意味で用いられることもあり、自分の意志で任務を放棄するという含みがあります。
自分の意思で何かや誰かを見捨てる、という点がdesertの大きな特徴です。
desertという言葉の使い方
desertは名詞と動詞で意味と発音が異なるため、文脈と発音が非常に重要になります。
名詞では「砂漠」、動詞では「見捨てる」「放棄する」といった意味で使われます。
例:
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He deserted his family and moved abroad.(彼は家族を見捨てて海外に移住した)
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The town was deserted after the factory closed.(工場が閉鎖された後、その町は見捨てられた)
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The Sahara is the largest hot desert in the world.(サハラは世界最大の熱帯砂漠です)
abandonとは
abandonは、何かを「仕方なく」「やむを得ず」手放す、という意味を持つ動詞です。
単に「捨てる」のではなく、「希望を失った結果」「どうしようもなくなって」やめる・諦めるというニュアンスが含まれています。
たとえば、沈没しそうな船から逃げる、夢を諦める、といった場面でよく使われます。
また、感情的な制御を手放すという意味で使われることもあり、「自分をすべて音楽に任せる」などの表現で登場します。
このように、abandonには単なる物理的な放棄にとどまらず、心理的・感情的な側面が強く表れることが多いのが特徴です。
さらに、犯罪や育児放棄など深刻な状況でも使われることがあり、法的・倫理的な文脈でも見かける単語です。
abandonという言葉の使い方
abandonは、自発的というより「仕方なく」何かを手放す、やめるという場面で使われます。
希望や努力の放棄、あるいは危険を避けるために逃げるときなどに使用されます。
例:
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The crew abandoned the sinking ship.(乗組員たちは沈みかけた船を放棄した)
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She abandoned her dream of becoming a dancer.(彼女はダンサーになる夢をあきらめた)
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The baby was abandoned at the hospital entrance.(赤ん坊が病院の入口に置き去りにされていた)
desertとabandonの違いとは
desertとabandonの違いを一言でまとめると、「捨てる動機の違い」です。
desertは主に「自らの意思で見捨てる」ことを意味します。
たとえば、責任や約束を果たさずに逃げる、または人間関係を断つような状況で使われます。
軍隊の脱走兵を指して「deserter(脱走兵)」と呼ぶように、意図的な放棄が基本です。
自分の意思で「関係を切る」「関与をやめる」といった、自発的な行動が含まれます。
一方で、abandonは「仕方なく」「他に選択肢がない」というニュアンスで使われるのが特徴です。
希望を失ったとき、あるいは危険から逃れるためにやむを得ず捨てる、放棄するという意味合いが強くなります。
捨てたくて捨てるのではなく、「そうするしかない」という状況に追い込まれた末の行動です。
また、desertは「人を見捨てる」「場所を去る」といった意味合いが強く、abandonは「計画」「夢」「物」など無形のものを捨てる場面にも幅広く使われます。
つまり、両者とも「捨てる」という意味を持ちますが、
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desert:自分の意志で捨てる・放棄する(見捨てる)
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abandon:仕方なく捨てる・断念する(あきらめ)
という心理的背景に明確な違いがあります。
まとめ
desertとabandonの違いは、どちらも「捨てる」という共通の意味を持ちながら、使われる状況や感情に違いがあります。
desertは「自ら進んで見捨てる」こと、abandonは「やむを得ず放棄する」ことを意味します。
また、desertは発音によって「砂漠」という全く異なる意味も持つため、文脈と発音にも注意が必要です。
英語をより深く理解し、適切な場面で使い分けられるよう、これらのニュアンスをしっかりと押さえておきましょう。
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