英語には「不況」や「景気後退」を意味する単語が複数あり、特にdepressionとrecessionは混同されやすい表現のひとつです。
どちらも経済に関連する言葉ですが、それぞれが持つ意味や使い方にははっきりとした違いがあります。
この記事では、depressionとrecessionの違いについて、経済的な意味はもちろん、それ以外の用法にも触れながら、わかりやすく解説します。
英語のニュースやビジネスシーンでの理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
depressionとは
depressionは、名詞として多くの意味を持つ英単語です。
代表的な意味は以下の3つです。
1つ目は「押し下げること」「沈下」「降下」など、物理的に何かを下へ動かす動作や状態を表します。
たとえば、古い建具の一つである揚げ戸(上下に動く引き戸)を閉めるとき、下に押し下げる動きになります。
これがdepressionの語源的なイメージです。
2つ目は、気分や経済の「低下」「落ち込み」を表します。
たとえば、気分が沈んで憂うつな状態になること、あるいは景気が極端に悪化している状態、つまり「不況」を指す際に使われます。
3つ目は、気象に関する意味での「低気圧」です。
これは気圧が周囲より低く、天候の悪化を引き起こす原因となる気象現象を指します。
このように、depressionは「下がる」ことに関わる幅広い意味を持っています。
depressionという言葉の使い方
depressionは、精神的な落ち込み、経済的な不況、物理的な沈下、さらには気象用語としても使用されます。
基本的に「何かが下がる」「沈む」「くぼむ」といったイメージがある場面で使われます。
名詞として、文脈によって可算名詞または不可算名詞として扱われます。
たとえば「気分の落ち込み」や「不況」は不可算で、「くぼ地」は可算名詞として扱います。
例:depressionの使い方の例を3つ紹介
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He suffered from depression for several years.
(彼は数年間うつ病に苦しんだ) -
The Great Depression affected global economies.
(世界大恐慌は世界中の経済に影響を与えた) -
There is a small depression in the ground.
(地面に小さなくぼみがある)
recessionとは
recessionもまた複数の意味を持つ名詞です。
主な意味は次の3つです。
1つ目は、「壁や物体のへこんだ部分」です。
周囲よりも一部が凹んでいる状態を指し、物理的な構造として使われます。
2つ目は、「後退」や「退場」という意味です。
たとえば結婚式の際、新郎新婦が式の終了後に会場を後にする場面は「退場(recession)」と表現されます。
また、軍隊の撤退などにも使われる場合があります。
3つ目は、「景気の後退」、つまり経済活動が一時的に低迷している状態です。
ニュースなどで頻繁に見かける使い方で、「不況」と訳されることもありますが、これは一時的な落ち込みを意味します。
recessionの本質は「後ろに下がる」動きにあり、これはすべての用法に共通するイメージです。
recessionという言葉の使い方
recessionは、物理的なへこみや移動、経済の後退など、さまざまな場面で使われます。
特に経済ニュースやビジネス会話の中でよく登場します。
名詞としては、状況に応じて可算・不可算の両方の使い方が可能です。
物理的な「へこみ」は可算名詞で、景気後退などは通常不可算名詞です。
例:recessionの使い方の例を3つ紹介
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The company struggled during the recession.
(その会社は不況の間、苦戦した) -
There is a recession in the wall for the shelf.
(棚用の壁にくぼみがある) -
After the ceremony, the couple made their recession down the aisle.
(式の後、新郎新婦はバージンロードを退場した)
depressionとrecessionの違いとは
depressionとrecessionの違いを理解するには、特に「不況」という意味に注目するとわかりやすいです。
どちらの単語も経済の停滞を表しますが、その深刻度と持続性に大きな違いがあります。
まず、depressionは非常に深刻で長期的な経済の落ち込みを指します。
たとえば、1929年から始まった「世界大恐慌(The Great Depression)」のように、複数年にわたり経済が大打撃を受けるケースで使用されます。
単なる景気後退を超えた、経済的な危機状態を意味します。
一方、recessionは比較的軽度かつ一時的な景気後退を指します。
経済成長が一時的に鈍化したり、マイナス成長が数ヶ月続いたときに用いられる表現で、通常は適切な経済政策によって回復可能とされています。
また、意味の幅においても違いがあります。
depressionは気分の落ち込みや気象現象(低気圧)など、経済以外の意味も幅広くカバーしています。
一方、recessionは主に「後退」という動きに着目し、経済や式典の退場、空間的なへこみなどに使われます。
つまり、depressionは「押し下げられて沈む」イメージ、recessionは「後ろに下がる」イメージで、それぞれ使用場面とニュアンスが異なります。
要点まとめ:
まとめ
depressionとrecessionの違いは、どちらも「不況」を意味する一方で、その深刻度や文脈による意味合いに大きな違いがあります。
depressionは深刻で長期的な経済危機や気分の沈みを指し、recessionは一時的な景気後退や退場・後退といった動きを意味します。
英語ニュースやビジネス英語に触れる際は、これらの違いを理解して使い分けることで、より自然で正確な英語表現ができるようになります。
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