働き方の多様化や人生のライフイベントに合わせて、退職後に再び同じ会社で働く仕組みが注目されています。
その代表的な制度が復職制度と再雇用制度です。
一見すると似たような制度に思えますが、適用される状況や対象となる人材に違いがあります。
復職制度は、結婚や出産、介護、配偶者の転勤などで一度退職した人が、再び働ける環境になった際に戻る仕組みを指します。
一方、再雇用制度は、主に定年退職者が希望すれば再契約を結び、働き続けられる制度です。
本記事では、復職制度と再雇用制度の違いを分かりやすく解説し、それぞれの特徴や使い方を整理していきます。
復職制度とは
復職制度とは、出産、育児、介護、あるいは配偶者の転勤といった事情により一旦退職した人が、再び元の会社に戻り働ける仕組みのことを指します。
ここで重要なのは「退職後に再び雇用契約を結ぶ」という点です。
たとえば、育児と仕事の両立が難しく退職した人が、子育てが落ち着いた後に再び働きたいと考えた場合、復職制度を活用すれば元の職場に戻ることが可能です。
また、配偶者の転勤で地方に移住したものの、その後再び元の地域に戻った際に利用されることもあります。
ただし、育児休業や介護休業など「休業中の復帰」は復職制度には含まれません。
休業はあくまで在職扱いであり、退職とは異なるためです。この違いを理解しておくことが重要です。
復職制度は、従業員にとって「ブランクがあっても元の会社で働ける安心感」があり、企業にとっても「経験者を再び戦力として迎えられる」という利点があります。
復職制度という言葉の使い方
復職制度は「退職したが再び元の職場に戻る」場面で使われます。
主にライフイベントが理由で離職した人を対象とすることが多いです。
例:復職制度の使い方
-
出産を機に退職したが、子育てが落ち着いたため復職制度を利用した。
-
配偶者の転勤で退職したが、再び地元に戻り復職制度で職場に復帰した。
-
介護が一段落したので、会社の復職制度を活用して再就職した。
再雇用制度とは
再雇用制度とは、一度退職した従業員と企業が新たに雇用契約を結ぶ制度です。
特に日本では「定年退職を迎えた人が、希望に応じて再び働く」ケースで使われることが一般的です。
多くの企業は定年を設けており、その年齢に達すると一旦退職となります。
しかし「まだ働きたい」という本人の希望に応じて再契約を結ぶのが再雇用制度です。
これにより労働者は培った経験を生かし続けられ、企業側も即戦力を確保できるメリットがあります。
再雇用制度は定年退職者を対象にすることが多いものの、近年では転職や家庭の事情で退職した人を再び雇うケースにも使われます。
ジョブリターン制度やカムバック制度と呼ばれることもあり、労働人口の減少を背景に普及が進んでいます。対象は正社員に限らず、契約社員やパート・アルバイトまで幅広く含まれるのも特徴です。
再雇用制度という言葉の使い方
再雇用制度は「一旦退職した人を新たに雇用契約を結んで再び働いてもらう」場面で使われます。
特に定年後の継続雇用や、人材不足を補う取り組みとして活用されます。
例:再雇用制度の使い方
-
定年後も働きたいと希望し、再雇用制度で勤務を継続した。
-
退職後に再雇用制度を利用して、パート勤務として復帰した。
-
企業が再雇用制度を導入し、元社員の経験を活かしている。
復職制度と再雇用制度の違いとは
復職制度と再雇用制度の違いは、対象者や適用される状況にあります。
まず、復職制度は「出産・介護・配偶者の転勤などを理由に一度退職した人が、再び元の会社に戻るための仕組み」です。
ポイントは「定年退職者は含まれない」ことです。
復職制度は、従業員の生活環境の変化を尊重し、柔軟な働き方を可能にする制度といえます。
一方、再雇用制度は「主に定年退職者を対象に、希望があれば新たに契約を結んで働き続けられる制度」です。
ただし、企業によっては出産や介護などの理由で退職した人を再び雇用するケースもあり、復職制度と同じように扱われることもあります。
このため、両者の定義は企業ごとに曖昧で、同じ意味で使われる場合もあるのが実情です。
ただし、厳密に分けるなら、復職制度は「ライフイベントによる離職後の復帰」、再雇用制度は「定年退職後の継続雇用」という違いがあります。
また、育児休暇や介護休暇のように「在籍中の休業からの復帰」は、どちらにも該当しません。
ここを混同しないよう注意が必要です。
まとめ
復職制度は出産・介護・転勤などを理由に退職した人が元の職場に戻る仕組みで、定年退職者は対象外です。
一方、再雇用制度は主に定年退職者を対象に、希望があれば再契約を結んで働き続けられる制度です。
ただし、企業によってはライフイベントによる退職者を対象とする場合もあり、両者が混同されることもあります。
どちらも人材活用や労働力確保のために重要な制度であり、違いを理解して正しく使い分けることが大切です。
さらに参考してください: