ビジネスや経済ニュースでよく耳にする「増収」と「増益」という言葉。似たような印象を持たれることが多いですが、それぞれが示す意味や使われる場面には明確な違いがあります。
本記事では、増収と増益の違いを具体的に解説し、それぞれの言葉の使い方や例文も紹介していきます。
増収とは
増収(ぞうしゅう)とは、「収入や収穫が増えること」を意味する言葉です。
主に企業や団体の財務に関して用いられ、前期と比較して売上高(=収入)が増えたことを指します。
たとえば、商品やサービスの販売が好調になり、得られる売上金額が増加した場合に「増収」と表現します。
また、企業以外にも国や自治体においては「税収が増えること」、農業では「作物の収穫が増えること」に対しても使われます。
ただし、増収はあくまでも売上などの「収入面」の増加を表しており、必ずしも利益(儲け)が増えているとは限りません。
支出(仕入れや人件費)がそれ以上に膨らんでいれば、たとえ売上が伸びていても赤字になる可能性もあるのです。
増収という言葉の使い方
増収は「売上や収入が増えること」という文脈で使われ、「増収する」「増収となる」「増収して」などの形で使用されます。
また、「増収減益」という言葉もあり、これは「売上は増えたが、利益は減った」ことを意味します。
例:増収の使用例
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『新製品の発売により前年比で10%の増収が見込まれている。』
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『広告戦略が功を奏し、増収に転じた。』
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『増収はしたものの、経費の増加により利益は横ばいだった。』
増益とは
増益(ぞうえき)とは、「利益が増えること」を意味します。
企業や個人事業主の会計において、売上から仕入れ費用や人件費、固定費などの経費を差し引いた「純利益」が前期より増えた状態を指します。
つまり、売上の増減に関係なく、最終的な「儲け」が増えていれば、それは増益となります。
「益」という文字は「もうけ」や「利得」を意味しており、増益はビジネスの健全性や経営効率が良いことを示す重要な指標です。
なお、「数が増える」という意味で使われることもありますが、ビジネスの文脈では「利益の増加」を指す場合が一般的です。
増益という言葉の使い方
増益は「利益が増える」ことを表し、「増益になる」「増益に転じる」「増益を続ける」などといった形で使われます。
「増収増益」は売上も利益もともに増加している、つまり企業が好調であることを示します。
例:増益の使用例
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『コスト削減の成果により、今年は大幅な増益が期待されている。』
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『リストラの効果が現れ、ようやく増益に転じた。』
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『複数事業の統合により、持続的な増益が見込まれている。』
増収と増益の違いとは
増収と増益の違いを簡潔に言えば、「収入の増加」か「利益の増加」かという点にあります。
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増収は売上や収入が増えたことを意味し、その背景には商品の販売数やサービス利用者数の増加、価格の引き上げなどが挙げられます。
ただし、そこから経費を差し引いた利益が増えているとは限りません。 -
一方、増益は売上に関係なく、経費を抑えることで純利益を増やした場合にも該当します。
つまり、売上が減少していてもコストカットなどの経営努力によって利益が増えれば増益になります。
たとえば、広告宣伝に多額の費用をかけて売上が伸びたとしても、その支出が大きすぎれば利益が残らず、「増収減益」となる可能性があります。
逆に、売上が前年並でも、無駄な経費を見直すことで「増益」を実現することもあるのです。
このように、増収と増益は似て非なるものであり、企業の財務分析においては両者を切り分けて理解することが重要です。
まとめ
今回は増収と増益の違いについて詳しく解説しました。
増収は「売上や収入の増加」、増益は「利益の増加」を意味します。
両者は似ているようで意味は異なり、企業の経営状況を正確に把握するためには、それぞれを正しく理解する必要があります。
ビジネスの基本用語として、しっかり覚えておきましょう。
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