ビジネスや会計の分野でよく耳にする「仕入原価」と「売上原価」。
どちらも「原価」に関する言葉ですが、その意味や使い方には明確な違いがあります。
本記事では、両者の定義から使い方、そして仕入原価と売上原価の違いについて分かりやすく解説していきます。
仕入原価とは
仕入原価とは、他の企業などから商品を購入する際にかかる原価のことを指します。
特に百貨店、スーパーマーケット、小売店などが在庫として商品を仕入れる場合に頻繁に使用される会計用語です。
この仕入原価には、商品の購入価格に加えて、商品の運搬費や荷下ろし費用、保険料なども含まれることが一般的です。
つまり、「商品を店に届けるまでにかかるすべての費用の合計」が仕入原価となります。
たとえば、食品などを仕入れた場合、販売前に腐ってしまって売れなかったとしても、それも仕入原価に含まれます。
このため、すべての仕入れコストを正確に管理することが企業の収益性に直結します。
仕入原価という言葉の使い方
仕入原価は主に、小売業や卸売業など、商品を他社から購入して販売する業種において使用されます。
経理業務や損益計算、価格設定の基準としても重要な役割を果たします。
例:
-
今月の仕入原価が予想よりも高く、利益率が下がった。
-
仕入原価を抑えるために、別の仕入先を探している。
-
売上と仕入原価のバランスを見直す必要がある。
売上原価とは
一方で、売上原価とは、特定の会計期間において実際に販売された商品の原価を意味します。
これは、在庫全体ではなく、その期間中に「売れた商品」に限定して原価を計算する方法です。
計算方法としては、期首在庫と当期仕入れの合計から期末在庫を差し引いた金額が売上原価となります。
つまり、売れ残った商品は含まれず、売れた分だけの原価が対象です。
この概念は、企業の実際の売上と利益を正確に把握するうえで非常に重要です。
適切に売上原価を算出することで、粗利や営業利益を明確にすることができます。
売上原価という言葉の使い方
売上原価は主に財務諸表や経営分析の文脈で使われます。
企業の収益性を判断する上で、売上に対してどのくらいのコストがかかっているのかを明らかにするための重要な指標です。
例:
-
今期の売上原価が上昇したため、利益が圧迫された。
-
売上原価を正確に計算しないと、粗利が見誤られる。
-
経営陣は売上原価の見直しを急いでいる。
仕入原価と売上原価の違いとは
仕入原価と売上原価の違いは、対象となる商品の範囲と計算の目的にあります。
まず、仕入原価は、仕入れたすべての商品にかかった費用を対象としています。
売れたか売れていないかに関係なく、仕入れた段階で発生した全てのコストを合計します。
これには、未販売商品や破損した商品も含まれます。
一方、売上原価は「売れた商品」に絞って原価を計算します。
期首の在庫に当期の仕入れを足して、期末に残っている在庫を差し引くことで求められます。
つまり、実際に売上を生んだ商品だけを基準にして原価を出す方法です。
このように、仕入原価と売上原価の違いは、「在庫全体を対象にするか」「売れた商品だけを対象にするか」の点にあります。
企業会計では、この違いを理解することで、より正確な財務管理が可能になります。
まとめ
仕入原価と売上原価の違いを正しく理解することは、経理処理や経営判断において非常に重要です。
それぞれの言葉の意味と使い方を把握し、目的に応じて適切に使い分けましょう。
さらに参照してください:買い叩くと買い取るの違いの意味を分かりやすく解説!