ビジネスシーンや日常会話でよく耳にする言葉にご指摘とご指導があります。
どちらも敬語表現として使われますが、その意味や使い方には大きな違いがあります。
例えば、ミスを指し示す場合には「ご指摘」、成長や改善のために導いてもらう場合には「ご指導」を使います。
この二つを正しく理解していないと、場面に合わない使い方をしてしまい、相手に不自然な印象を与えることもあります。
この記事では、ご指摘とご指導の違いを分かりやすく解説し、それぞれの意味・使い方・具体例を紹介します。
正しい理解を深めて、より適切なコミュニケーションに役立てましょう。
ご指摘とは
ご指摘とは、「指摘」に丁寧さや敬意を示す接頭語「ご」を付けた表現です。
指摘には、相手の欠点や誤り、注意すべき点などを具体的に示すという意味があります。
つまりご指摘とは、目上の人や敬意を払う相手から、自分のミスや注意点を具体的に指し示してもらうことを表します。
この言葉は、単に「間違いを正す」という意味合いにとどまりません。
相手に対して敬意を持ちつつ、自分が気づけなかった部分を教えていただいたという感謝のニュアンスが含まれています。
そのため、ビジネスにおいては上司や取引先など目上の人から注意を受けた際に「ご指摘ありがとうございます」と返すのが適切です。
重要なのは、ご指摘には「導き」や「解決策の提示」が含まれないという点です。
あくまで誤りや改善すべき箇所を示してもらう行為であり、その後の対応や改善策を考えるのは受け手側の責任となります。
ご指摘という言葉の使い方
ご指摘は、自分が受けた注意や指摘について述べる際に使います。
「ご」がついているため、使う対象は自分より目上の人や敬意を払うべき相手に限られます。
また「ご指摘します」という表現は誤りで、指摘する側が使うのは単に「指摘します」です。
正しい使い方を理解することが、相手に失礼を避けるポイントです。
ご指摘の使い方の例
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ご指摘ありがとうございます。
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ご指摘のおかげでミスに気づくことができました。
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今回のご指摘を今後の改善に活かします。
ご指導とは
ご指導とは、「指導」に丁寧さや敬意を示す「ご」を付けた言葉です。
指導には、ある目標や方向性に沿って相手を教え導くという意味があります。
したがってご指導は、目上の人や尊敬すべき立場の人から、成長や成果に向けた助言や教育を受けることを指します。
例えば、大学のゼミで教授から研究の進め方を教わる場合や、職場で上司から業務改善の方法を学ぶ場合に「ご指導」という表現が使われます。
単なる誤りの指摘にとどまらず、どのように改善すればよいか、どんな姿勢で取り組むべきかといった方向性を示してもらう点が特徴です。
ご指導には、相手から与えられる知識や経験を自分の成長に活かすという前向きな意味合いがあります。
そのため、ビジネスや学習の場では感謝とともに使われることが多く、「ご指導ありがとうございます」と返すのが一般的です。
ご指導という言葉の使い方
ご指導は、相手から学びや導きを受ける場面で使われます。
「ご」が付いているため、使う相手は目上や敬意を払うべき人に限定されます。
指導する側が「ご指導します」とは言わず、受け手側が「ご指導をお願いします」や「ご指導いただきありがとうございます」といった形で用います。
ご指導の使い方の例
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今後ともご指導をよろしくお願いいたします。
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ご指導いただいた内容を業務に活かしていきます。
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剣道のご指導をお願いいたします。
ご指摘とご指導の違いとは
ご指摘とご指導の違いは、目的と役割にあります。
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ご指摘は「誤りや注意点を具体的に示してもらうこと」であり、その場でのミスや改善点を知らせてもらう行為です。
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そこに解決策や方向性は含まれません。
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例えば「この資料の数字が間違っています」というのがご指摘です。
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ご指導は「成長や目標達成のために教え導いてもらうこと」であり、誤りの指摘を含むこともありますが、それだけでなく改善に向けた方法や学びを得られる行為です。
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例えば「資料を作成する際は、この手順で確認すると正確になります」というのがご指導です。
このように、ご指摘は「問題点を示すこと」に重点があり、ご指導は「問題点を踏まえて成長へと導くこと」に重点があります。
ビジネスシーンでは両方とも重要ですが、相手に求める内容や状況に応じて適切に使い分ける必要があります。
誤って使うと、相手に意図が正しく伝わらないだけでなく、失礼にあたる場合もあるため注意が必要です。
まとめ
ご指摘とご指導の違いは、示される内容と目的にあります。
ご指摘は誤りや注意点を具体的に伝えてもらうことであり、改善策は自分で考える必要があります。
一方、ご指導は成長や成果に向けて教え導いてもらうことで、学びや解決の方向性を示してもらえるのが特徴です。
両者を正しく理解し使い分けることで、ビジネスや日常のコミュニケーションがより円滑になり、相手に敬意を示す表現としても適切に活用できます。
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