趣旨と主旨の違い

「趣旨」と「主旨」は、日本語で同じ読み方をする異義語ですが、微妙な違いがあります。

この二つの言葉の意味の違いについて考えてみましょう。

 

趣旨とは

「趣旨(しゅし)」という言葉の意味は、「文章・話・物事の意味や考え(意図)」になります。

「趣旨」というのは、「その物事を行う目的・意図・理由」「ある話・文章の目的・意図・理由」を意味している概念なのです。

「趣旨」の使い方

「趣旨」という言葉は、「文章・話・物事の意味・考え」あるいは「ある物事・話・文章の目的・意図・理由」を意味して使うという使い方になります。

例えば、「私たちの依頼の趣旨は、父親が行方不明になったわけを知りたいということなのです」「会合の趣旨は新規ビジネスの立ち上げにあります」などの文章で使えます。

「趣旨」を使った例文

・『どういった趣旨で、周囲を不安にさせるような発言をしたのでしょうか?』

・『このスポーツ大会の趣旨は、健康的な運動の習慣を身につけてもらうことにあります』

・『今回のミーティングの趣旨は、研究開発部門の成果をどのようにビジネスにできるのかを話し合うことにあります』

・『私たちの話の趣旨をご理解頂けないのであれば、帰っていただいても構いません』

・『あなたが裁判を起こした趣旨はどこにあるのですか?』

「趣旨」の類語

「趣旨」の類語には、「意義・目的・意図・理由」などがあります。

「意義」というのは「物事の意味・重要性」を意味していて、「目的」「ねらいをつけて実現しようとしているもの・達成することを目指している内容」を意味しています。

「趣旨」という言葉には、「ある行動・活動をするに当たっての目的や意図(考え)・理由」「なぜその行動をするのかの理由」といった意味合いがあります。

そのことから、「趣旨」と類似の意味を持つ類語として、「意義・目的・意図・理由」が挙げられます。

「趣旨」の対義語

国語辞典などに掲載されている「趣旨」の対義語はありません。

 

主旨とは

「主旨(しゅし)」という言葉は、「文章・話・物事の意味・考え(意図)」を意味しています。

「主旨」というのは、特に「物事・文章・話の大まかな内容」「文章・話などの中心(メイン)になっている事柄」を意味している表現になります。

「主旨」の使い方

「主旨」の使い方は、「物事・文章・話の大まかな意味、重要な意味」「文章・話などの中心になっていること」を意味して使うという使い方になります。

例えば、「発表された論文の主旨は興味深いものでした」などの文章で使用することができるのです。

「主旨」を使った例文

・『生命科学の論文の主旨について質問をしました』

・『この刑事裁判の判決の主旨は、責任能力による量刑判断にあります』

・『会社で組織再編の議論を繰り返しましたが、主旨を理解できていない社員も多くいました』

・『この提案の主旨に賛同する人は挙手をお願いします』

・『この小説に描かれている物語の主旨は、現代人の孤独と苦悩にあります』

「主旨」の類語

「主旨」の類語には、「要点・主題・ポイント」などがあります。

「主旨」という言葉は、「物事・文章・話などの大まかな意味や重要なポイント」を意味しています。

「主旨」には、「物語の主旨」のように「その文章・作品の中心になっているもの=主題」といった意味合いも備わっています。

そのことから、「主旨」と類似の意味を持つ類語として、「要点・主題・ポイント」が挙げられます。

「主旨」の対義語

「主旨」の対義語には、「瑣末な点(さまつなてん)・枝葉末節(しようまっせつ)・詳細な意味」があります。

「主旨」の表現には「物事・文章・話の重要なポイント」の意味があるので、反対の意味を持つ言葉として「重要なポイントではない取るに足らないこと」を示す「瑣末な点・枝葉末節」があります。

「主旨」には「物事の大まかな意味・内容」の意味もあるので、対義語として「詳細な意味」を想定することができます。

そのことから、「主旨」と反対の意味を持つ対義語として、「瑣末な点・枝葉末節・詳細な意味」を挙げられるのです。

 

「趣旨」と「主旨」の違い

「趣旨」「主旨」はどちらも「しゅし」と読む同音異義語ですが、「物事・文章・話の意味および考え」という共通の意味もあります。

「趣旨」という言葉は、「物事・文章・話題などの目的(意図)・理由」を意味しています。

「趣旨」に対して「主旨」という言葉は、「物事・思考・話・文章などの中心(メイン)となっている事柄」「物事の大まかな意味」を意味している違いを指摘できます。

 

「趣旨」と「主旨」の使い方の違い

「趣旨」「主旨」は、「趣旨」という表現は「その物事を行う目的・意図・理由」を意味して使われますが、「主旨」のほうは「ある物事の中心的な事柄・メインになっていること」を意味して使われるという使い方の違いがあります。

例えば、「このボランティアの趣旨を理解してから参加してください」「ボランティアの目的・理由」の意味になりますが、「趣旨」「主旨」に言い換えると「ボランティアの中心になっていること」という違った意味の使い方に変わってしまうのです。

 

「趣旨」と「主旨」の英語表記の違い

「趣旨」を英語で表記すると、以下のようになります。

“purpose”(目的・意図から趣旨の意味で使えます。)

“reason”(理由・意図から趣旨の意味で使えます。)

“aim”(ねらい・ねらっているものから趣旨の意味で使えます。)

「趣旨」に対して「主旨」を英語で表記すると、以下のようになります。

“main point”(中心となるポイント・主要なポイント・要点から主旨の意味で使えます。)

上記のように、「趣旨」の英語表記は“purpose”などで、「主旨」の英語表記は“main point”であるという違いを指摘することができます。

 

まとめ

「趣旨」と「主旨」は、どちらも物事や文章の意味や考えを表す言葉ですが、使い方において微妙な違いがあります。

「趣旨」は目的や理由を指し、「主旨」は物事の中心や大まかな意味を示します。

文章や話題の明確な伝え方をする際に、適切に使い分けることが重要です。

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