現代社会において、「承認欲求」と「自己顕示欲」という二つの欲求が注目されています。
「承認欲求」とは他人から認められたいという誰しもが持つ基本的な欲求であり、「自己顕示欲」とはその中でも特に自分を目立たせたいという強い欲求を指します。
これらの欲求は、私たちの行動や社会的な関係にどのように影響を与えるのでしょうか。
この記事では、「承認欲求」と「自己顕示欲」の違いや使い方について詳しく見ていきます。
「承認欲求」とは
「承認欲求」とは他人から自分の存在価値を認めてほしいという欲求を指します。
人は社会生活を送る中で、「他者から認めてほしい」という感情を自然に抱くようになります。
この感情を「承認欲求」と呼びます。
「承認欲求」は努力や自身の社会的地位の向上などのモチベーションや目標となりますが、時には過剰になり、お金や名誉などを求めるようになることがあります。
また、「承認欲求」は文化や風習、風土などにも強く影響を受け、特に日本人は「周囲を裏切ってはならない」「期待に応えなければならない」といった、一種の強迫観念に陥りやすく、いじめやパワーハラスメントなどの社会問題を引き起こす原因となる場合があります。
「承認欲求」は対象によって2つに分類されます。
ひとつは「他者承認」といい、他人から認められたいという欲求です。もうひとつは「自己承認」といい、自分自身が満足しているかどうかを判断する欲求です。
コンプレックスの強い人や不安や悩みが多い人は、自己承認が難しい場合があり、思い込みが強い人は他者承認の問題だと考えていても、実際は自己承認の問題だったりします。
また、「承認欲求」には「どのように認められたいか」によって3つに分類されます。
自分が他人より優位な関係で認められたいという欲求を「上位承認」と呼びます。これは、ナルシストの人や他人に対して被害妄想を持つ人、他人を支配しようとする人に見られます。
また、他人と同等で平等な関係であることを望む欲求を「対等承認」と呼びます。
そして、自分が他人から蔑まれたいとする欲求を「下位承認」と呼びます。これは、被虐的な感情や自虐的な感情を持つ人や、他人に保護されたいと思う人が抱く感情です。
これらの分類はあくまで一例であり、実際には、わざと相手より弱い立場を取って優越感を得ようとする行動や、けがや病気を大げさに言うことで承認を得ようとするケースもあり、単純に分類することは難しいです。
「承認欲求」を使った例文
・『彼は承認欲求が強く非常に努力家だが、それが時に強く出過ぎてしまい、他人に迷惑をかける』
・『あまりに承認欲求が強い彼女は、だんだんと友人が距離を取り始めてしまっている』
・『彼は幼い頃から承認欲求が強く、時に両親を困らせる程だった』
・『彼は努力家で非常に真面目だ。彼が言うには承認欲求が彼の行動の源になっているそうだ』
「承認欲求」の類語
「承認欲求」の類語は「自意識過剰」です。
「自意識過剰」とは、他人が自分の事をどう思っているかということを過剰に気にしすぎる状態のことです。
「自己顕示欲」とは
「自己顕示欲」とは、「承認欲求」の一種で、より強く自分をアピールしたり、過剰に他人に良く見せようとする欲求を指します。
自己顕示欲の強い人は、時には嘘をついてまで自慢話をしたり、自分が話の中心にならないと満足できないような、周囲にとって少し迷惑な行動をとります。
さらに、他人よりも自分の方が優位であることを証明しようとする行動を取り、行動や言動で相手を威圧しようとする方法で上位に立とうとします。
「自己顕示欲」を使った例文
・『あいつは自己顕示欲が強すぎて苦手な人物だ』
・『自己顕示欲の強い彼女と話をしていると、自分語りばかりであまりおもしろくない』
・『彼は自慢話ばかりするが、そのほとんどは嘘だと思う。何故なら彼は自己顕示欲が異常に強いからだ』
「承認欲求」と「自己顕示欲」の違い
「承認欲求」とは、他人からの認可や、自分を尊重されることを望む、社会的に生きるすべての人が持つ欲求です。
「自己顕示欲」とは、自分の存在を周囲により際立たせたいという欲求であり、より強く認められたいという行動をとることでこの欲求を満たそうとする傾向があります。
「自己顕示欲」は「承認欲求」の一種であり、自己主張する意欲が強いとされます。
「承認欲求」と「自己顕示欲」の使い方の違い
「承認欲求」と「自己顕示欲」との言葉の使われ方は、ほぼ同じ意味合いで使用されます。
目立ちたがり屋な人に向けてどちらの言葉で表現しても、両方とも「注目されたい」や「認められたいと考えている人」という意味で理解できます。
「承認欲求」と「自己顕示欲」ともに、意味合い的に差異はなく使用しても同じ意味として伝わります。
まとめ
「承認欲求」と「自己顕示欲」は、いずれも人間の基本的な心理的欲求を反映しています。
「承認欲求」は他者からの評価を求める一般的な欲求であり、「自己顕示欲」はその中でも特に自分を強く主張したいという欲求です。
これらの欲求が強く現れることにより、他者との関係や自己評価に影響を与えることがあります。
適切にコントロールすることが求められますが、過剰になると社会的な問題を引き起こす可能性もあります。
自身の欲求を理解し、健全な社会生活を送るためにバランスを取ることが重要です。