「文才」と「文章力」はどちらも、優れた文章を考えて書く能力を指しますが、そのニュアンスには重要な違いがあります。
具体的には、「文才」は生まれながらに持っている芸術的なセンスに基づき、感動的で独創的な文章を書ける才能を意味し、「文章力」は努力や経験を通じて培われ、分かりやすく適切な論理構成で文章を書く能力を示します。
文才とは
「文才」という言葉の意味は、「あまり努力しなくても生まれながらに備わっている、センスを生かして巧みな文章を書ける才能」になります。
「文才」とは、「人を感動させるようなワードセンス・芸術的センス・物語の展開力(創作力)のある、個性的な文章を書ける才能」を意味しているのです。
「文才」の使い方
「文才」という言葉は、「生まれながらに持っている、優れた文章やセンスのある文章を書ける才能」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「彼女は文才に恵まれていたので、小学生の頃からエッセイや小説を熱心に書いていました」などの文章で使うことができます。
「文才」を使った例文
・『作品の序盤を少し読めば、作家が文才のあるかどうかが分かります』
・『子供の頃から文才がなかったので、作文は苦痛でした』
・『文才に恵まれていたため、高校生の頃には小説家になりたいと思っていました』
・『彼は文才が乏しいので、文章はほとんど残していませんでした』
・『人の心を揺さぶる文才というのは、努力すれば身につくものではないのです』
「文才」の類語
「文才」の類語には、「筆才(ひっさい)・詩才(しさい)・文藻(ぶんそう)・詩藻(しそう)・ワードセンス」などがあります。
「筆才」とは「卓越した文章を書く才能」、「詩才」とは「優れた詩を書く才能」を意味しています。
「文藻」「詩藻」という表現には「優れた文章や詩文を書ける才能・資質」の意味があり、「ワードセンス」にも「芸術的な文章を考える言葉選びのセンス・資質」といった意味合いがあるのです。
「文才」の対義語
「文才」の対義語は、「弁才(べんさい)」になります。
「文才」というのは「優れたセンスのある文章を書ける先天的な才能(=書く才能)」を意味していますが、「弁才」のほうは「文字言語ではなく音声言語・ことばで巧みに話すことができる才能(=話す才能)」という反対の意味を持っています。
文章力とは
「文章力」という言葉の意味は、「努力・経験・練習・試行錯誤によって上達させてきた、分かりやすい論理的な文章を上手く書ける能力」になります。
「文章力」とは、「努力・練習によって培ってきた、人に分かりやすく趣旨・意志を伝える文章を書ける能力」のことなのです。
「文章力」の使い方
「文章力」の使い方は、「努力・経験・試行錯誤によって身につけた、論理的な文章・分かりやすい文章を適切に書ける能力」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「文章力を高めたいのであれば、一日に一回はまとまった分量の文章を書き続けてください」といった文章で使えます。
「文章力」を使った例文
・『中学生の頃につけていた日記で、文章力が高まりました』
・『会社の実務で必要なのは文才ではなく文章力です』
・『文章力を上達させることで、宣伝広告の効果も格段にアップします』
・『文章力がない社員には、プレゼン資料の作成を頼みにくいものです』
・『文章力を鍛えるために、毎日何かテーマを決めてブログの記事を書くことにしました』
「文章力」の類語
「文章力」の類語には、「文筆力(ぶんぴつりょく)・作文能力(さくぶんのうりょく)・論理的思考」などがあります。
「文筆力」とは「筆をとって適切な文章を書くことができる能力」、「作文能力」は「優れた作文を仕上げることができる能力」を意味しています。
また「文章力」を構成する重要な要素として、「分かりやすい文章を書くための、論理的思考をする能力」があります。
「文章力」の対義語
「文章力」の対義語には、「弁論能力・弁舌の力・演説力」などがあります。
「文章力」という言葉は「文字(書き言葉)を用いて、目的に見合った適切な文章を論理的に書ける能力」を意味しています。
「弁論能力」とは「相手を説得するための話す能力」、「弁舌の力」は「文章を書くのではなく話すことによって目的を達成する能力」を意味しています。
「演説力」も、「文章作成ではなくて、話し言葉で巧みに演説する能力」を示している言葉です。
「文才」と「文章力」の違い
「文才」と「文章力」の使い方の違い
「文才」と「文章力」の使い方の違いは、「文才」は「生まれながらに芸術的センスがある文章を書ける才能」を意味して使われますが、「文章力」のほうは「努力・練習・経験によって培われた分かりやすい論理的な文章を書ける能力」を指して使われる違いがあります。
例えば、「純文学の作家には、ワードセンスと発想力に裏打ちされた文才が求められる」の「文才」は「人を感動させる芸術的センスのある文章を書ける才能」を意味しているので、「文章力」の言葉では言い換えられません。
「文才」と「文章力」の英語表記の違い
「文才」を英語で表記すると、以下のようになります。
“literary talent” (文学的な才能・文学的な文章を書ける才能)
“a talent for writing” (執筆の才能・文章を書く能力)
“creative talent” (創作する才能・文章を創る能力)
「文才」に対して「文章力」を英語で表記すると、以下のようになります。
“writing” (書くこと・書く力)
“a writing ability” (適切な文章を書く能力)
“a talent in writing” (執筆する能力・適切な文章を書く能力)
このように、「文才」の英語表記は“literary talent”などで、「文章力」の英語表記は“a writing ability”などであることが、その違いを示しています。
まとめ
このように、「文才」と「文章力」は両方とも文章を書く能力を表す言葉ですが、それぞれに異なったニュアンスがあります。
文学的なセンスに優れた「文才」と、努力と練習によって磨かれた「文章力」という二つの概念が、文章表現においてどのように使われるかを理解することは、言語能力の向上に役立つでしょう。