「必然」と「当然」は、日本語でよく使われる言葉ですが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。
この記事では、この二つの言葉の意味や使い方、さらには英語での表現について詳しく解説します。
必然とは
「必然」の使い方
「必然」という言葉は、「偶然ではなく必ずそうなること」や「その結果になる以外のことを想定できない場合」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「同じ業界で働いている以上、ライバルである彼との再会は必然でした」や「必然的に二人の関係は悪化しました」などの文章で使えます。
「必然」を使った例文
・『飲酒運転による死亡事故は必然の結果でもあるのです』
・『仕事をしていない状態が続くと必然的にお金に困ることになります』
・『深い接点がなかった彼が、被害者を殺す必然性がないのです』
・『性格が合わない彼女と必然的に別れることになりました』
・『私にはその財団に寄付をする必然性があったのです』
「必然」の類語
「必然」の類語には、「必至(ひっし)・必定(ひつじょう)・運命・不可避(ふかひ)」などがあります。
「必至」は「必ずその結果に至ること」、「必定」は「必ずそうなると決められていること」、「運命」とは「そうなる定めであったこと」、「不可避」は「どうやっても避けられないさま」を意味しています。
そのことから、「必然」と類似の意味を持つ類語として、「必至・必定・運命・不可避」が挙げられます。
「必然」の対義語
「必然」の対義語には、「偶然(ぐうぜん)」があります。
「偶然」という言葉は、「必然のように必ずそうなるのではなく、たまたまそうなったこと」や「何の因果関係もないのに予想外のことが起こるさま」を意味しています。
そのことから、「必然」と反対の意味を持つ対義語として、「偶然」が挙げられます。
当然とは
「当然(とうぜん)」という言葉は、「そうなること(そうすること)が当たり前であること」や「誰が考えてもそうであると納得できるさま」を意味しています。
また「当然」という表現には、「道義的にそうなるべきであること(結果が必ずしもそうなるとは限らない)」といった意味のニュアンスも備わっています。
「当然」の使い方
「当然」の使い方は、「そうなることが当たり前であること」や「道義的に、そうすべきであること」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「不倫をしたあなたが当然、慰謝料・養育費を支払うべきです」や「手抜きをして失敗したのは当然です」などの文章で使用することができます。
「当然」を使った例文
・『借金を返すのは当然の義務です』
・『大人になったのであれば、当然、経済的にも自立を目指すべきです』
・『浮気をしたあなたが振られたのは当然です』
・『困っている人を助けるという当然のことをしたまでです』
・『交通事故で被害者に怪我をさせたのであれば、治療費・慰謝料を当然支払うべきです』
「当然」の類語
「当然」の類語には、「当たり前・もちろん・無論・言わずもがな」などがあります。
「当然」という言葉は、「そうすることが当たり前であること」を意味しています。
「もちろん」は「その通りであるさま・当たり前に同意すること」、「無論・言わずもがな」は「あえて論じるまで(言うまで)もなく当たり前であること」といった意味合いを持っています。
そのことから、「当然」と類似の意味を持つ類語として、「当たり前・もちろん・無論・言わずもがな」が挙げられます。
「当然」の対義語
「当然」の対義語には、「意外・予想外・想定外・非常識」があります。
「意外」とは「思っていたこととは違う物事(相手の反応)が起こるさま」、「予想外」は「予想していたことが外れること」、「想定外」は「当たり前と思っていることが外れるさま」、「非常識」は「当然そうすべきことをしないさま・常識がないこと」を意味している言葉です。
そのことから、「当然」と反対の意味を持つ対義語として、「意外・予想外・想定外・非常識」を挙げられるのです。
「必然」と「当然」の違い
「必然」と「当然」はどちらも「物事や行動がそうなることが当たり前である」というニュアンスを持っていますが、「必然」の場合は「結果として必ずそうなる」という意味がより強調されています。
「必然」という言葉は、「必ずそうなることや、他にあり得ない状態を意味します。」
一方、「当然」という表現は、「結果が必然的ではなくても、道徳的にそうであるべきであることや、誰もが納得できることを意味します。
「必然」と「当然」の使い方の違い
「必然」という表現は「必ずそうなること・そうなる以外の結果が有り得ないさま」を意味して使われますが、「当然」のほうは「道義上、そうであるべきこと・誰がどう考えても当たり前であるさま」を意味して使われるという使い方の違いがあります。
例えば、「防災対策をしなければ必然的に被害は拡大します」は「必ずそうなると分かりきっていること」を意味していますが、「防災対策をしなければ当然、被害は拡大します」に言い換えると「必然ほど確実ではないが、普通に考えて当たり前に被害が拡大する」のニュアンスになる違いを指摘できます。
「必然」と「当然」の英語表記の違い
When expressing “必然” in English, it can be rendered as follows:
“necessary” or “necessity” (必然の・必要な・必然的な・必然性)
“inevitable” or “inevitability” (必然の・必然的な・そうであることが明らかな・必然性)
Regarding “当然” in English, it is represented as:
“of course” (もちろんそうである・当然である)
“should~” (道義的に当然~すべきである・~するのが当然である)
“by rights” (当たり前に・当然に)
まとめ
「必然」と「当然」は、物事がそうなることが当たり前であることを示す言葉ですが、微妙な違いがあります。
前者は結果として不可避であることを強調し、後者は道徳的な当然性を指摘します。
英語表現においても、それぞれ異なるニュアンスがあります。
この記事を通じて、両者の違いを理解することができたことでしょう。