ビジネスシーンでは敬語表現が非常に重要であり、特に会社を指すときの言葉の使い分けには注意が必要です。
中でもよく使われるのが御社、貴社、弊社という3つの言葉です。
いずれも相手や自分の会社を丁寧に表現するための敬語ですが、場面や文脈によって正しい使い分けをしなければ、失礼にあたる可能性があります。
この記事では、御社と貴社と弊社の違いを分かりやすく解説し、それぞれの意味や使用例を具体的に紹介します。
御社とは
御社とは、相手の会社を敬意を込めて呼ぶときに使う言葉です。
主に話し言葉として使用され、面接や商談、日常的なビジネス会話の中で頻繁に登場します。
たとえば「御社を志望した理由は…」「御社の製品をぜひ導入したい」といったように、相手の会社を丁寧に指す表現として自然に使われます。
また、御社は会社に限らず、相手の組織に応じて言い換えることができます。
例えば、銀行なら「御行」、学校なら「御校」、病院なら「御院」と表現が変化します。
有限会社や株式会社といった法人形態にかかわらず、相手の企業に対しては「御社」と呼べば問題ありません。
つまり、御社は話し言葉として相手の会社を丁寧に表現するための一般的な敬語であり、ビジネスマナーにおいて最もよく使われる表現のひとつです。
御社という言葉の使い方
御社は話し言葉として、相手の会社を敬意をもって表現する際に用いられます。
特に面接や商談、顧客との会話など、口頭でのやり取りにおいて自然に使えるのが特徴です。
御社の使い方の例
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面接で「御社を志望した理由は、御社の理念に共感したからです」と述べる。
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商談で「御社のサービスをぜひ導入したいと考えております」と伝える。
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打ち合わせで「御社の担当者様と詳細を確認したいです」と依頼する。
貴社とは
貴社も相手の会社を敬意を込めて表す言葉ですが、こちらは主に書き言葉で使用されます。
履歴書やエントリーシート、取引先へのビジネス文書、案内状や挨拶文などで広く用いられます。
例えば「貴社の事業内容に強く魅力を感じました」「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」といった形で使われます。
御社と同じく、対象が会社でない場合には適切な表現に言い換えられます。
銀行なら「貴行」、学校なら「貴校」、病院なら「貴院」となるのが一般的です。
つまり、貴社は書面において相手の会社を丁寧に示す表現であり、ビジネス文書や就職活動の場面で欠かせない言葉です。
貴社という言葉の使い方
貴社は、履歴書や送付状、契約書、公式なメールなど書き言葉の中で相手の会社を敬って表現する際に使われます。
日常会話で使うとやや不自然に響くため、文面での使用が基本です。
貴社の使い方の例
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履歴書に「貴社の理念に強く共感し志望いたしました」と記載する。
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ビジネス文書で「拝啓 貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます」と冒頭に書く。
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契約書で「本契約において貴社と弊社は以下の条項を遵守する」と明記する。
弊社とは
弊社とは、自分の会社をへりくだって表現する言葉です。
相手の会社や取引先に対して、自社を謙遜して指すときに使います。
たとえば「弊社製品」「弊社の担当者」「弊社社長」といった使い方が一般的です。
広報発表やプレスリリースでも「弊社製品をご利用いただきありがとうございます」といった形で用いられます。
ただし、消費者向けの広告や案内文では「分かりやすさ」を優先して、会社名そのものを記載するケースも多いです。
なお、自分の会社を表す言葉には「当社」もありますが、こちらは社内での会話や社外でも対等な立場で使う場面に適しており、へりくだりのニュアンスは含まれません。
対外的に謙譲の意を示す場合には「弊社」が適切です。
弊社という言葉の使い方
弊社は自分の会社を相手に対してへりくだって表現する際に使います。
商談や文書、プレスリリースなど、外部とのコミュニケーションにおいて幅広く活用されます。
弊社の使い方の例
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商談で「弊社製品をご提案させていただきます」と伝える。
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広報発表で「弊社の新サービスが来月よりスタートします」と紹介する。
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取引先とのメールで「弊社担当の田中が対応いたします」と記載する。
御社と貴社と弊社の違いとは
御社と貴社はいずれも「相手の会社を敬う」表現ですが、違いは使われる場面にあります。
御社は話し言葉で、貴社は書き言葉という点が大きな区別です。
例えば、面接や会話では「御社」と言い、履歴書やビジネス文書では「貴社」と書くのが適切です。
一方、弊社は自分の会社をへりくだって表現する言葉です。
御社・貴社が「相手」を立てる言葉であるのに対し、弊社は「自分を下げる」表現です。
このため、弊社は自分が所属している会社を指す場合にのみ使用可能であり、他人が勝手に使うことはできません。
また、御社や貴社の「社」は会社そのものを意味しますが、対象によって語尾が変わります。
銀行であれば御行・貴行、学校なら御校・貴校、病院なら御院・貴院といった具合です。
対して弊社は常に自分の会社を表すものであり、組織の種類による変化はありません。
まとめると、御社=話し言葉で相手の会社、貴社=書き言葉で相手の会社、弊社=謙譲して自分の会社という明確な使い分けが存在します。
これを正しく理解し使い分けることで、ビジネスにおける敬語表現を正確に使いこなすことができます。
まとめ
御社は話し言葉で相手の会社を敬う表現、貴社は書き言葉で相手の会社を示す表現、弊社は自分の会社をへりくだって表す言葉です。
それぞれの使い分けを誤ると、ビジネスマナーを欠いた印象を与えかねません。
つまり、御社と貴社は「相手を敬う言葉」であり、弊社は「自分をへりくだる言葉」です。
これらを正しく理解して活用することで、円滑で礼儀正しいビジネスコミュニケーションが実現できます。
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