企業経営に関するニュースや決算報告を見ていると、完全子会社 や 子会社 という言葉をよく目にします。
しかし、この2つの言葉の違いを正しく理解できている人は意外と少ないのではないでしょうか。
実は、両者は「株式の保有割合」に大きな違いがあり、経営の支配権や上場可否といった点にも影響を与えます。
本記事では、完全子会社 と 子会社 の意味や特徴、それぞれの使い方の違いを分かりやすく解説し、両者を混同しないように整理していきます。
完全子会社とは
完全子会社 とは、発行済株式総数（議決権）の100%を他の会社（親会社）が保有している企業のことを指します。
つまり、その会社の経営権はすべて親会社に帰属し、独自の意思決定を行う余地はほとんどありません。
株主が親会社のみであるため、株主総会での議決はすべて親会社の判断で決まります。
ただし、個人や有限会社、相互会社などが株式を100%保有している場合は、法律上「完全子会社」とは呼びません。
また、完全子会社は株式の流通市場における上場が認められません。
もし上場企業がM&A（合併・買収）によって他社に株式をすべて取得されると、その時点で上場廃止となります。
実際の例としては、ソニーグループ株式会社が100%出資するソニー株式会社や、アサヒグループホールディングス株式会社が所有するアサヒ飲料株式会社などが挙げられます。
これらの企業はすべて親会社の完全な支配下にあり、経営方針や事業戦略も親会社の決定に基づいて動きます。
完全子会社という言葉の使い方
完全子会社 は、主に企業経営や投資関連の文脈で使われることが多い言葉です。
ニュース記事や企業のIR資料、M&Aに関する解説などで頻繁に見られます。
また、会社法や金融商品取引法に基づく開示資料でも用いられる専門用語の一つです。
例：完全子会社の使い方
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ソニーグループは自社の中核事業を担うソニー株式会社を完全子会社として保有している。
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上場企業が他社に買収され、完全子会社となった結果、証券取引所での取引が終了した。
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親会社は完全子会社を設立し、新規事業の展開をスムーズに進めている。
子会社とは
子会社 とは、発行済株式総数（議決権）の過半数、すなわち50%以上を他の会社（親会社）が保有している企業のことです。
株式の保有率によって経営の支配力を持ちますが、完全子会社のように100%ではないため、少数株主が存在する場合もあります。
さらに、株式保有率が50%未満であっても、資金提供や技術供与、人事権、経営方針の決定に強い影響力を持つ場合は、実質的に子会社と判定されるケースもあります。
子会社にはいくつか種類が存在します。
例えば、親会社の子会社をさらに支配する「孫会社」、同じ親会社を持つ「兄弟会社」、障害者雇用を目的とする「特例子会社」などです。
これらは親会社との関係性によって分類され、それぞれ異なる役割を持ちます。
例として、ソフトバンクグループ株式会社とその子会社ソフトバンクグループジャパン株式会社、さらに孫会社にあたるソフトバンク株式会社が挙げられます。
子会社という言葉の使い方
子会社 は、経営や組織構造を説明する際に用いられる一般的なビジネス用語です。
ニュース記事や決算報告、企業グループの説明などで頻出します。
また、会社設立や事業拡大の場面でも欠かせない言葉です。
例：子会社の使い方
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ソフトバンクグループは国内外に数多くの子会社を持ち、幅広い事業を展開している。
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親会社は新規事業のために子会社を設立し、経営資源を効率的に配分している。
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子会社の経営成績がグループ全体の業績に大きな影響を与えることがある。
完全子会社と子会社の違いとは
完全子会社 と 子会社 の大きな違いは、親会社が保有する株式の割合にあります。
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完全子会社：親会社が発行済株式の100%を所有。
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少数株主が存在せず、経営のすべてを親会社が掌握。
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子会社：株式の50%以上を親会社が所有。
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場合によっては少数株主が存在し、完全子会社ほどの支配力はない。
また、上場可否についても違いがあります。
完全子会社は上場することができず、100%保有された時点で上場廃止となります。
一方、子会社は株式の一部を市場に公開することが可能です。
さらに、経営の自由度にも差があります。
完全子会社は親会社の方針に従う形で運営されますが、子会社は親会社の支配下にありながらも、ある程度独自の判断で事業を進める余地があります。
例えば、親会社が経営戦略を一元的にコントロールしたい場合は完全子会社化を選びますが、資金調達や他社との関係を重視する場合は子会社として独立性を残すことがあります。
つまり、両者の違いは単なる株式比率にとどまらず、企業の経営戦略やガバナンス体制に大きな影響を及ぼすのです。
まとめ
完全子会社 は株式を100%親会社が保有しており、独立性がなく親会社の完全支配下にあります。
一方、子会社 は株式の過半数を保有されることで支配を受けますが、完全子会社に比べて経営の自由度が残されているのが特徴です。
両者の違いを理解することで、企業グループの構造やニュース報道の背景がより分かりやすくなるでしょう。企業経営や投資を考える上でも、この区別は非常に重要な知識といえます。
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