ビジネスや販売戦略を考える上でよく登場するのが「掛け率」と「利益率」という言葉です。
一見似たように感じるこの二つの用語ですが、実際には意味も使い方も大きく異なります。
本記事では、掛け率と利益率の違いを丁寧に解説し、それぞれの使い方や具体例も交えてご紹介します。
掛け率とは
掛け率(かけりつ)とは、「商品の販売価格(小売価格)に対する仕入価格(卸値)の割合」を表す指標です。
計算方法はシンプルで、掛け率 = 卸値 ÷ 小売価格 となります。
この割合は「〇掛け」やパーセンテージで表され、ビジネス現場では頻繁に使用されています。
たとえば、販売価格が10,000円で、仕入値が7,000円の場合、掛け率は70%(または「7掛け」)となります。
掛け率が小さくなるほど、同じ販売価格に対する利益は大きくなるという特徴があります。
また、仕入れる側にとっては、この掛け率は「仕入原価率」と呼ばれ、コスト管理や価格交渉の重要な指標となっています。
掛け率という言葉の使い方
掛け率は主に、商品を仕入れて販売する小売業や卸売業の価格設定、利益率の調整に使われます。
価格交渉や原価分析の現場でも非常に重要な数値です。
例:
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この商品は掛け率が60%なので、利益が取りやすい。
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新しい取引先と掛け率を再交渉した。
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掛け率を見直して利益構造を改善する必要がある。
利益率とは
一方の利益率(りえきりつ)は、「売上高に対する利益の割合」を示す会計用語です。
こちらは、利益率 = 利益 ÷ 売上高 × 100 という式で求められ、結果はパーセンテージ(%)で表示されます。
利益率が高ければ高いほど、売上に対して得られる利益が多いということを意味します。
ただし、「利益」と一言で言っても、粗利益(売上総利益)、営業利益、経常利益、税引前利益、当期純利益など複数の種類があるため、どの段階の利益を用いるかで利益率の数値は異なります。
経営分析や事業戦略の中で、自社の収益性を判断するために非常に重要な指標です。
利益率という言葉の使い方
利益率は主に、企業の財務分析、経営効率の評価、事業計画立案などに使われます。
営業会議や財務レポートなど、幅広い場面で活用されています。
例:
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新商品の利益率は想定よりも高かった。
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利益率の改善に向けたコスト削減策を検討している。
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決算書で前年よりも利益率が下がっていることが判明した。
掛け率と利益率の違いとは
掛け率と利益率の違いを一言でまとめると、対象となる割合の「基準」が異なります。
掛け率は「販売価格に対する仕入価格の割合」を示しており、主に仕入や価格交渉の文脈で使われます。
一方で、利益率は「売上に対して最終的に残る利益の割合」を表し、企業の経営分析や業績評価に用いられます。
また、表記方法にも違いがあります。
掛け率は「〇掛け」や「%」で表示され、小さいほど利益が増えるという傾向があります。
それに対し、利益率は必ず「%」で表され、大きいほど利益が高いと評価されます。
さらに、掛け率は仕入価格が中心の指標であるのに対し、利益率は最終的な利益に焦点を当てた指標です。
このため、両者は企業経営における異なる側面を反映しており、それぞれの場面で正しく使い分けることが求められます。
まとめ
掛け率と利益率の違いを理解することで、仕入れや販売戦略、収益分析における判断力が格段に高まります。
数字に強くなることはビジネスの成功に直結します。
ぜひ今回の記事を参考に、状況に応じて適切に使い分けていきましょう。
さらに参照してください:仕入原価と売上原価の違いの意味を分かりやすく解説!